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25/5/29

ミチクサ醸造所さんでオリジナルビールを仕込んできた!

目次

オリジナルクラフトビールを手作りする!

① 麦芽の計量・破砕

② マッシング

③ 濾過

④ 煮沸・ホップ投入

⑤ ワールプール

⑥ 冷却

⑦ 発酵

⑧ 熟成

⑨ 濾過・瓶詰め

ビールで循環型農業


この記事を音声で聞くには ▶ をクリック


今日はオッタントットのオリジナルクラフトビール「YURUM(ゆるむ)」製造プロジェクトについてお話ししようと思います。


これからこの「YURUM(ゆるむ)」についての回がちょいちょいあると思いますので、お付き合いいただけたら、そしてオッタントット店舗や通販で召し上がっていただけたら最高に嬉しいです!



手作業の小ロットで作っているため、店舗や通販にない時期もありますのでご了承ください。今はちょうど完売していて、第2弾ロットは7~8月に完成する予定です。手作りならではのご縁と思って、のんびりお待ちいただけましたら幸いです。



オリジナルクラフトビールを手作りする!

ビールの製造はいわゆるOEMで福津市のミチクサ醸造所さんにお願いしているのですが、まかせっきりではなく、実は僕やマダムが実際に現場で仕込みを行っている商品です!



「YURUM(ゆるむ)」のレシピはミチクサ醸造所さんに考案いただきました。僕が味のイメージを伝えていろいろ話しながら、じゃあこういうレシピでと固めていってもらった感じです。


すごく細かいレシピを作っていただいて、麦芽は5種類をブレンドしています。ホップも5種類使っています。


第1弾ロットの仕込みは吹雪の舞う2月の大寒波の中でした。僕らが携わった作業をレポートします!メイキング動画もありますのでご覧ください。




① 麦芽の計量・破砕

麦芽を計量し、機械で粗めに粉砕していきます。なんかね、麦にもそれぞれ個性があるっていうか、もちろん食べたりとかはできないですけども、もう香りがそれぞれ全然違っていて。


お肉とかを焼いたらちょっと焦げ茶色っぽい、狐色っぽい感じに色がつきますよね。あれメイラード反応っていう言い方をするんですが、熱風で加熱することによってそのメイラード反応を起こした麦は香ばしい香りがしたりとかね。そういうところでちょっと味の個性を出していると。



実際触ってみて香ってみて五感で感じるっていうことがすごく良くて、やっぱりでき上がったビールだけを飲んだところで、なんかやっぱこれは分かんないんですよね。


実際飲んで香ばしい香りするねって思うかもしれないけれども、それはもうそこまでであって。やっぱり原料であの香ばしい香りがする麦を入れたらこの味になるよね、この香りになるよねとか、そういう過程が分かったことで感じ方が全然違うなと思いました。


実際この作業の段階ではビールの味は分からないんですが、いやもうそもそも麦の原料の時点でこんなに香りが色々あるんだなと。これをブレンドしていったら、いろんな種類のビールができるよねっていうのがわかって面白かったですね。




② マッシング

砕いた麦芽を煮ていくことによって、糖化という現象が起きます。デンプンが糖に変化するんですね。この作業をマッシングといいます。


この時に温度が非常に大事で、66℃をキープしつつ糖化させていく作業になってきます。この間、鍋の中の温度を均一にするためにずっと混ぜていないといけないんですよね。温度を見てガスの火加減を調整しながら混ぜ続ける。


ミチクサ醸造所の江藤さんはあまり手を出しません。口も出しません。説明をしたら僕らに委ねて、僕らが自分でやっていくという形です。



この時に重要なのが糖化できているかいるかどうか。水銀の温度計に似たような比重計という機器を使って比重を測ると糖化の段階がわかるそうで。


比重の目標値に達しないといけなくて、たぶんそれで最終的なアルコール度数が決まってくるのかな。なんかそういう感じだったと思います。


比重を見る時、当然アルコールはまだ発生していない状態のものを試飲させてもらいました。豆乳とかオーツミルクとか、そんな味わいでした。穀物の煮汁なので、作り方で言ったらたぶん同じじゃないかなと思います。


だから麦汁もけっこう、商品化したら売れるんじゃないのかなぁ。体にもいいんじゃないかな。それこそ麦芽の配合で味、風味なんかもけっこう変わってくるので、面白いのができそうだなとか思っちゃいました。




③ 濾過

麦汁を濾していきます。麦の表皮がついたまま煮ているので、出てくる澱やカスのようなものを濾しながら麦汁を別鍋に移し、さらに加熱していきます。




④ 煮沸・ホップ投入

この段階で100℃まで温度を上げて沸騰させ、ホップを投入したら1時間ぐらい煮沸を続けていきます。


僕は植物の状態のホップはすごくイメージができるんですけども、この時に入れるホップは乾燥、粉砕、圧縮してペレット状に固められたものです。ビールづくりではこのホップペレットを使うのが主流だそう。



ホップもちょっと味見をさせてもらったら、まぁ苦くて、苦いだけじゃなくて、えぐみがすごかったです。みんなでうわーっ!って言いながら味見をしました。


それだけで食べられるようなものではないんですけども、ビールの苦みってやっぱりこれだなっていうのも感じました。


実際その液体に対して入れるホップの量はそんなに多くないんですよね。なのでこの量に対してこの量であれば、目指すビールの苦みぐらいにはなってくるのかなと思いました。


1時間ぐらいずっと煮沸していくのは江藤さんが担ってくださって、僕らはここでお昼休憩をいただいてごはんを食べに行きました。



⑤ ワールプール

ごはんから戻って、ワールプールという儀式的な手順を行いました。煮沸中の鍋の中をぐるぐる回すんです。とにかくぐるぐる回して大きな渦を作ってしばらく放置する。まだまだ出ている澱を鍋底の中央に溜めていく作業です。


最終的に冷やしながらタンクに移す時、なるべく澱が入らないようにするためなんだそうです。ウォーターサーバーみたいに鍋の下の方の側面に蛇口が付いていて、そこから麦汁を出すんですが、鍋の中央部に澱があれば最も蛇口から離れた位置になるので。


ただこれ結局、タンクの中で熟成発酵させたビールは濾してから瓶に詰めるので、ここで澱が入っていても大丈夫で、そういう意味で儀式的な手順なんだとか。




⑥ 冷却

ワールプールを終えるとポンプを使ってタンクに入れていくんですが、その時に熱交換という作業があります。100℃ぐらいまで上げていた温度を今度は下げる必要があるんですよね。


これがまた難しくて、ちょうどいい温度っていうのが正確に何℃だったか忘れてしまったんですが、20℃前後まで冷やしつつタンクに移送しないといけません。下がっていないぬるい温度帯は雑菌が発生しやすいし、下げすぎると酵母を入れた時に発酵しなくなります。


僕もイースト菌を使ったフォカッチャを作る時、やっぱり夏と冬で全然発酵の仕方が違ってくるんですよね。冬の寒い時って全然発酵しなくてめちゃくちゃ時間がかかったりするのでよくわかります。


雑菌が発生せず、ちゃんと発酵する、その20℃前後を狙って温度を下げる作業を熱交換器を使ってやります。水で冷やしたパイプの中に麦汁を通すんです。冷やす水の量を調節することで出ていく麦汁の温度をちょうどいい20℃前後まで持っていきつつ、タンクに移送していくという流れです。


先ほどワールプールをやった鍋からポンプ、ポンプから熱交換器、熱交換器からタンクという風に特殊なホースで繋いでいきます。消防団とかが使ってるような、しっかり重いホースです。それを金具で止めて繋ぐ作業も外す作業も、江藤さんの指導のもと僕ら自身でやります。




⑦ 発酵

タンクの麦汁にビール酵母を投入します。鍋の掃除などもやってここまでで6時間くらい。僕らの作業はここまでで、あとはミチクサ醸造所さんにおまかせすることになります。本当に非常に楽しいビールの仕込みでございました。


酵母を入れると1~2週間かけて発酵が起こり、アルコールが発生して麦汁からビールへと変化します。


江藤さんいわく、「ビール作りにおいては、酵母さんが料理長なんです」と。僕らはその食材の仕込みまでしかできなくて、仕込んだ食材を最終的に調理するのは酵母さんの仕事だから、酵母さんが料理長なんだというお話をされていたのが印象的でした。江藤さんが「酵母さん」って言われているのがすごく愛がありますよね。


最終的に酵母がしっかり仕事をしてくれないと、ビールにはならない。酵母ってすごい!




⑧ 熟成

タンクでじっくり1~2ヶ月ほど熟成させます。



⑨ 濾過・瓶詰め

熟成されたビールから酵母などを濾過し、瓶に詰めて完成です!


オッタントットのオリジナルクラフトビール「YURUM(ゆるむ)」


ビールで循環型農業

江藤さんがちょっと余談というか、どういう人がこういうビールを作りに来ているのかという話をしてくださいました。もちろん飲食店の人というパターンもあるんですけど、農家さんとかもけっこう多いそうなんです。


農家さんが作った作物で傷があって出荷できなかったものなんかを持ち込んで、それを原料にビールを作ると。特に柑橘の農家さんなんかいいですよね。柑橘の香りのビールができ上がったりとかするわけですから。


実際それを販売する人はあんまり多くないらしくて、親戚で集まった時に飲むとか、贈答用であったり、自分用であったり、そういう使い方をしているらしいです。すごくいい感じの利用の方法ですよね。


製造中に出る麦芽のカスは米でいうところの揉み殻なので、畑に撒いて土を良くするためにミチクサ醸造所で出た分も近隣の農家さんに配ったりしているとのこと。循環型農業みたいな感じで、それもすごくいいなと思いました。


オッタントット店主とマダムとミチクサ醸造所の江藤さん

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