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26/1/31

フランス料理、イタリア料理、オッタントットのソースのお話

目次

フランス料理の五大ソース

イタリア料理におけるソース

カトリーヌ・ド・メディチの影響

オッタントットでのソース

現代の食文化の融和


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今回はソースについてお話ししていこうと思います。よく、フランス料理はソースの料理、イタリア料理は素材の料理、みたいに言われたりもします。


それぞれの料理におけるソースの違いや、オッタントットがどういう思想でソースを使い、料理を提供しているかなんてこともお伝えします。



フランス料理の五大ソース

フランス料理には五大ソースと呼ばれる、ベースになるようなソースがあります。この五つのベースになるソースに酸味やハーブを足したり、出汁を変えたり、そういう変化をつけて何十種類、何百種類というソースを作るのがフランス料理の極意ですね。


ベシャメル

バターを溶かして小麦粉を入れたルウに牛乳を加えた、いわゆるホワイトソースですね。日本でも馴染み深くて、グラタンとかに使うやつです。


ブルーテ

鶏や魚、子牛とかをあんまり煮詰めたりグラグラさせずにとった出汁を、バターを溶かして小麦粉を入れたルウに加えたものです。割と白っぽい感じのソースになりますね。


エスパニョール

エスパニョールは「スペイン風」という意味です。牛の骨をオーブンとかでしっかりローストして焼き目をつけて、それを煮詰めて茶色い感じの出汁になります。デミグラスソースなんかのベースになるソースソースというか、出汁に近い感じです。


トマト

皆さんにもお馴染みのトマトソースですね。トマトにニンニク、タマネギ、オリーブオイルなんかを加えて煮込んだものです。


オランデーズ

卵黄、バター、レモン果汁を乳化させて作る、フランス料理の伝統的な温かいソースです。日本じゃあんまり見ないかもしれないですが、フランス料理としては本当に定番のソースです。


フランス料理の五大ソース

1800年代後半から1900年代前半に生きた、オーギュスト・エスコフィエというフランス人シェフがいまして。近代フランス料理の父とか言われている有名な人です。


当時はシェフたちがそれぞれに料理をやっていて、学ぶのが大変だったようです。誰も言語化できないし、レシピなんてないし、若手からしたらどうやって学ぶんだよみたいな感じです。


そんな中でエスコフィエが自分の料理を全部整理、言語化、体系化して、誰もが学べるような料理学というところまで押し上げたんですね。併せて五大ソース、別名マザーソースと呼ばれるものまでまとめ上げたと。


どんなソースもやってることは全部一緒で、旨味を素材から抽出して、余分な水分を飛ばして凝縮させます。そこにバターやオイルを足して乳化させて濃度をつけたものがソース、ということです。


なんでソースが発展したかというと、もともとは食材の質の問題があって。今でこそ流通とか保存技術がすごく発達したので、質の良い食材が品質を保ったままどんどん世界中で流通しています。


でも昔はもちろんそんなことなくて、保存方法も確立していないし、流通網も発達していないので、食材の品質がどんどん落ちてしまいます。そういう質の悪い食材に対して、風味を補ったりや臭みを取ったりする工夫のひとつがソースなのかなと思います。


ただルーツはそこであったとしても、そこから美食の域まで発展したのがフランス料理のソースなんです。


ソースがかかったフランス料理

フランスのレストランだと、ソースを軸にメニュー構成を決めるなんてこともあります。このソースがあるからこの素材を合わせようみたいな、ソース中心な考え方。


それぐらいソースが重要で、シェフたちも同じ素材で同じ料理を作ったとしても、ソースで個性を出して差別化を図ろうみたいな。そういう考え方というか文化で、フランスではそれぐらいソースが命とされているんですね。



イタリア料理におけるソース

イタリア料理は割とフランス料理と対比的に扱われたりします。実はイタリア料理ではソースってあんまり作らないんですよね。


さっき言ったソースの作り方、旨味を抽出して水分を飛ばして乳化させるっていう作り方は、フランスではほとんどの場合、旨味を抽出した具材は濾してしまって、液体だけの状態にすることが多いんです。イタリアは濾す作業をしない感じですね。


パスタソースってよく言いますが、トマトソースは確かにソース。でも例えば魚介のトマトソースパスタ、ペスカトーレとかだと、ソースはソースだけど麺に絡んでいるし、具材が必ず入っています。


アサリ、ムール貝、エビ、イカなんかの魚介から旨味を抽出して、水分を飛ばして濃縮させて、そこにトマトソースを入れてまたちょっと煮詰めて味を濃くして濃度をつけて、オリーブオイルで乳化させるんですが、旨味を抽出した魚介類もそのまま食べちゃうし、パスタに混ぜてしまうのでソースとしてお皿に残るわけでもないという感じ、分かりますかね?


ペスカトーレ

魚のソテーとかでも、魚介の旨味を出して凝縮させて、トマトソースを入れて煮詰めてソースにするみたいなことはするんですけど、やっぱり具材も一緒に食べちゃう。


肉の場合は塩とオリーブオイルでいいじゃんっていうノリがあるし。煮詰めたバルサミコ酢をかけるとか、それにパルミジャーノをかけて食べるとか。あとサラダと一緒に食べようよみたいな感じですね。


あとポレンタっていう、とうもろこしの粉を水や牛乳で煮る、見た目はマッシュポテトみたいな感じのポレンタをよく一緒に食べたりしてますね。


フランス料理とイタリア料理、なんとなく区別がつかないよっていう人も多いかなと思うんですが、ソースの観点から違いを見てみるのもけっこう面白いかなと思います。


もちろん現代だとけっこうフランス料理とフュージョンというか、かなり混ざり合っているので、イタリアンレストランのコース料理なんかを食べると多様なソースが出てきますけどね。



カトリーヌ・ド・メディチの影響

イタリア料理とフランス料理の歴史を見ると、ルーツというか共通点みたいなものも実はあって。いきなりですが、古代ローマ帝国ぐらいまで遡ってお話ししますね。


古代ローマ帝国の時代、ヨーロッパのイタリア料理はけっこう確立されてたんですよね。その頃すでにコース料理なんかも流行っていたようで。ヨーロッパの美味しいもののルーツはローマにありと言われていたとかいないとか。それぐらいローマって料理が発展していたらしいです。


イタリアのフィレンツェで絶大な権力を有したメディチ家で、16世紀に生きたカトリーヌ・ド・メディチという女性がフランス王のアンリ2世に嫁ぎます。いわゆる政略結婚ですね。


このカトリーヌ・ド・メディチはあんな国に行きたくないと嫌がりますが、メディチ家の決定には逆らうことなどできません。しぶしぶ嫁ぐ際に、イタリアから料理人をたくさん引き連れて行ったんです。


その頃のフランスは王家が食べる宮廷料理も全然発展してなかったみたいで。カトリーヌ・ド・メディチが料理そのものはもちろん、テーブルマナーやカトラリー、そういう食文化全体をイタリアからフランスに持ち込んだと言われています。


16世紀のフランス王室の食事風景

フランス料理は今や高級路線でバリバリやってますけど、実はそのフランス料理のルーツはイタリアにあったんですね。


その結果フランスではレストラン文化がすごく広がって、レストランを中心に豪華なコース料理が発展していきました。それと共にソースも発展していったのでしょうね。


イタリアでは逆に、土地に根差した郷土料理や家庭料理が発展していきました。ピザやパスタが世界中でバーンと流行っていく一方で、ナポリ料理、トスカーナ料理、ローマ料理、シチリア料理、なんて感じで各郷土それぞれの料理が生まれていきました。



オッタントットでのソース

オッタントットでは、実は僕がフランス料理をあんまりやってきていなくて、イタリア料理出身だっていうことがあって、あんまりソースのバリエーションを持っていなかったりします。もちろん勉強はしてますけどね。


ただ、あんまりやってないっていうのは理由があるというか、僕なりの思想がやっぱりあって。ソースが発展してきたのは食材の質の問題があったという話をしましたが、つまり食材が良かったらソースってそこまで必要ではないと思うのです。


もちろんソースがあっても美味しいし、素材に出せない複雑性、香りや風味って、ソースで補えるみたいなところはあるんですけど。必要ではない、ネセサリー(不可欠)ではないっていうのが僕の料理思想ですね。



オッタントットで提供しているソースだと、ハンバーグ用のジャポネソースはどっちかというとドレッシングに近いので、ちょっとソースとは違うかなと。


リヨネーズぐらいは作ってるかな。リヨネーズはリヨンっていうフランスの都市からきた「リヨン風」という意味です。玉ねぎをじっくり炒めたものと、白ワインとフォンドボーを煮詰めて作ります。仕上げにバターモンテっていう、バターを溶かし込んで乳化させるソースですね。


今日はリヨネーズの代わりにシャリアピンソースを気まぐれで作ってみました。シャリアピンソースは日本の帝国ホテル生まれのソースです。


ロシア人歌手のフョードル・シャリアピンが来日した際に、ステーキが好きだけど歯が悪くて食べられないと帝国ホテルのシェフに伝えたそうで。


シェフは肉を薄く叩いたり、玉ねぎのみじん切りに漬け込んで野菜の酵素で肉を柔らかくするとか、いろいろ工夫してなんとかシャリアピンさんにステーキを食べてもらおうと頑張ったんですね。


これがシャリアピンステーキという名前でメニュー化されて、そのソースがシャリアピンソースと呼ばれています。玉ねぎベースで醤油が効いたちょっと甘辛系のソースです。


この材料を聞くとジャポネソースと似てるような気もしますが、ジャポネソースは「the和風」という感じ。シャリアピンソースは赤ワインも入って洋食系のコクがあって、味わいが全然違います。


けっこうやっているのは野菜を使ったソースですね。チーマディラパをペースト状にしたり、カーボロネロ(黒キャベツ)やサボイキャベツなんかはクタクタに煮込んでしまって、ちょっとドロドロっとした感じに仕立てて、魚のソースによく使っていますね。


こういうのがオッタントットらしいんじゃないかなと思っています。



現代の食文化の融和

イタリア料理とフランス料理で何が違うのって聞かれても、あんまりみんな答えられないと思うんですよね。それは現代がけっこうフュージョンというか、文化が混じり合っているから。特に日本は異なるものをミックスすることが得意ですよね。


なのでイタリア料理のコースでもフランス料理っぽいことは全然あるし、フランス料理って言ってもパスタやイタリア料理を出してたりとかもありますし。オッタントットもそうだよね。ビストロってフランス語で言いながらパスタを提供していたりするわけですから。


イタリア料理、フランス料理、スペイン料理

そもそも論で言うとフランスもイタリアも地続きで近いので、食文化は必ず似てきます。スペインもそうで、スペインとフランスに似てるところはあるし。


山がある町なのか、海がある町なのか、酪農が盛んなのか、農業が盛んなのか、漁業が盛んなのか、料理はそういう土地の特性に根付いた発展の仕方をするので、スペインの海辺の町とイタリアの海辺の町って同じような料理だったりするんですよね。逆にフランスの山の方とイタリアの山の方は似たような料理があったりします。


なのでイタリア料理とフランス料理を、ここからここまで!ってパキっと分けられないわけです。あんまり意識ってしなくていいのかなと思いますが、せっかくこうやってソースっていう切り口でイタリアとフランスの違いみたいなのを説明したので、今度からイタリア料理やフランス料理を食べることがあったら、少し思い出していただけると面白いかなと思います。

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