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26/5/30

憧れの西洋野菜を使って、素材を壊さない料理を作ってます

目次

昔は本の中の憧れだった野菜たち

憧れていた野菜が今は手元にある

味付けを褒められるけど、実はあまり足してない

肉料理も、だいたい下味の塩だけです

合うものをちょっとだけ足す

ソースは使うけど、塩はそんなにいらない

パスタも、ほとんど素材の力です

素材の味を引き出すより、壊さない


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オッタントットでは、色んな西洋野菜を使っています。


プンタレッラ、サボイキャベツ、カステルフランコ、カーボロネロ、ナスタチウム、チーマディラーパ、トレビス、プレコーチェ、タルディーボ、フェンネルなどなど他にも色々。


最近こういう野菜を当たり前のように使っているんですが、いや、これは当たり前じゃないぞと思ったので、今日はそういう話をしてみます。



昔は本の中の憧れだった野菜たち

僕がイタリア料理のお店で修行していた十数年前、イタリア料理とかフランス料理の本をけっこう読んでました。レシピ本というより、プロが読むような専門書ですね。そこには現地で使われている野菜も色々載っていて。先ほど導入で挙げたような野菜ですね。


でも当時、日本では、少なくとも福岡では、なかなか手に入りませんでした。僕の体感では、ほとんど見たことないものばかりでした。


トレビスぐらいは八百屋さんに言えば入ってきてたかな。一玉400円、500円、もしかしたら700円ぐらいしてたかも。とにかく高かったですね。


他の野菜も頼めば持ってきてくれたのかもしれないですけど、高いし、空輸で鮮度がそんなに良くないとか、そういうこともあったのかもしれません。


だから僕にとって、そういう西洋野菜は本の中でしか見たことがない、幻とまでは言わないけど、憧れの野菜だったんですよね。


その憧れた野菜たちを、今はお店の近くで作ってくれている農家さんがいて、普通に使わせてもらっている。これは本当に貴重なことで、本当に、生産者の方にはありがたいなと思っています。



憧れていた野菜が今は手元にある

プンタレッラなんて、たぶん現物を見たことなかったと思います。調理してある姿は写真で何度か見たことがあった気がするんですけど、実物を見て「こんなのなんだ」って初めて知ったというか。


サボイキャベツは、まあ見た目は想像しやすいかもしれません。チリメンキャベツとか言われたりするのかな。表面がすごいシワシワというか、縮れているような感じなんですよね。


ちょっと丸っこいタイプのキャベツで煮込みにするとすごくおいしいです。普通のキャベツと味も違うんですが、香りがやっぱりちょっと違うんですよね。



それからカステルフランコ。これは葉物の野菜なんですけど、白っぽいというか、黄色っぽいというか、そこに赤い斑点みたいなのが入っている野菜です。


こんなかわいい葉っぱがあるんだと思って、昔は本当に憧れました。まさか実際に手にすることができるなんて、当時の僕は思ってなかったですね。


カーボロネロもいいですね。カーボロがキャベツ、ネロが黒という意味なので、黒キャベツとも言われます。


キャベツと言いながら丸くはならず、上にまっすぐ伸びる葉っぱで、ちょっと縮れている感じ。色は黒っぽいというか、深緑というか、濃いグリーンですね。


これもクタクタに煮て使うんですけど、独特の香りで黒キャベツにしか出せない風味があります。



チーマディラーパは、菜の花的なアブラナ科の葉っぱなんですけど、僕はやっぱりこれが好きですね。日本の菜の花もいいんですけど、日本のものとはちょっと違います。


旨味が強い感じがするかな。苦味も多少あるんですけど、それより旨味の方が強い気がします。これは本当に大好きですね。何にでも入れちゃいたいぐらいです。


トレビス系もあります。キャベツみたいに丸く結球する葉物の野菜で、プレコーチェとかタルディーボとか色々種類があります。


昔はなかなか手に入らなかったフェンネルも今はけっこう使わせてもらっています。和名ではウイキョウと言います。


葉っぱはハーブとして使えますし、茎の方はちょっとセロリっぽい香りもするけど、セロリほど強烈じゃなくて少し甘い感じもあってすごく美味しいです。




味付けを褒められるけど、実はあまり足してない

「すごく美味しかったです」と言っていただくことはありがたいことによくあって。それは僕も美味しく作っているつもりなので、よかったなと思っているんですが。


最近、「味付けが最高ですよね」と言っていただくことがあるんです。


そうか味付けか、と思ったんですけど、よくよく考えてみると、僕ってそんなに複雑な味付けを全然していないんですよね。


例えばサラダ。昔は色々やっていたこともあるんですけど、今はもうサラダにはドレッシングだけ。


ドレッシング自体も、玉ねぎ、リンゴ、ビネガー、白ワイン、オイル、塩。それを乳化させたシンプルなドレッシングしかかけていません。


農家直送野菜のサラダ+“ミル爆”​+原木生ハム
農家直送野菜のサラダ+“ミル爆”​+原木生ハム

でも、うちのサラダはやっぱり野菜が半端じゃないんですよ。さっき言ったトレビス系も入っていますし、イタリアンパセリも入れたり、フェンネルがあれば葉っぱの方を香りがふわっとアクセントになるように入れたり。


レタス系も色々混ぜていて、10種類近くの野菜が入っているんじゃないかな。抜群に美味しいサラダで、これはもう野菜のおかげですね。


タブレも基本はビネガーとオイルです。キャロットラペもビネガーとオイル。そこにクミンをパラパラっとしていますけど、それがアクセントになっているぐらいですね。


あとは野菜そのものの味なんです。



肉料理も、だいたい下味の塩だけです

他の料理を考えてみても、ローストビーフは僕、塩しかしないですね。提供する時にはジャポネソースをかけていますけど、お肉自体には下味の塩だけです。


パテ・ド・カンパーニュもマリネするときの塩ぐらい。ハーブやスパイスは、僕はあんまり入れないんですよね。そこまで効いていないなと思うんですけど。


あとはワインですね。赤ワイン、白ワインだったり、マルサラ酒を使ったり。この間は気まぐれでノイリープラットを使ったりもしました。まあ、それぐらいです。


パテ・ド・カンパーニュ
パテ・ド・カンパーニュ

砂ずりのコンフィも本当にマリネするときの塩だけです。他は何も入れていません。オレガノがあったら使うかな、ぐらいですね。


アヒージョもあまり何もしないです。僕はアンチョビを入れるので、アンチョビの塩気ぐらいじゃないですかね。塩を振ったりはほぼしません。


小エビとチーマディラーパのアヒージョとかだと、チーマディラーパが旨味と香りを出してくれますし、ちょっとドロッと柔らかくなるとソースっぽくもなるんですよね。これが非常にいいです。



合うものをちょっとだけ足す

黒大根とか緑大根とか、キャロット系とか、そういう根菜をグリルパンで焼いていますが、これにも僕は塩をしません。


普通に焼いて、そこに白バルサミコのスプレーをかけます。バルサミコってお酢なんですけど、よく売っている黒いものとは別に白くて透明なものがあって、そのスプレー状のやつをよく使っています。


そこにオリーブオイルをかけて、あとはコショウですね。コショウはちょっと効かせたら美味しいと思っていますが、塩はしていません。


根菜のグリル
根菜のグリル

それから、オッタントットの名物ポルケッタ。豚肉をニンニクのすりおろしと塩でマリネして、香りづけにフェンネルシードを使っています。


提供するときはパリッと焼いて、10年以上熟成させて煮詰めた黒いバルサミコ酢とカカオニブをかけています。


飯塚市に「カカオ研究所」という、ビーントゥバーチョコレートの製造販売をされている有名なところがあります。



社長さんが時々オッタントットにいらしてくださって、「ポルケッタには絶対このカカオニブが合うと思う」とおすすめしてくれたんです。


カカオも種類によって香りが変わるんですが、今はちょっと酸味の効いた軽めのものを使っていて、油を少し軽くしてくれるような効果がある感じがしています。


でも味自体は、基本的にはニンニクのすりおろしと塩ぐらいなんですよね。



ソースは使うけど、塩はそんなにいらない

紅茶鴨のローストも人気ですが、これも下味の塩のみで上から塩をかけることはあまりしません。


フルール・ド・セルみたいな、ちょっとパリパリ崩れる系の塩があれば、気まぐれでかけたりすることはありますけど、基本あまりしないですね。


今だったらシャリアピンソースを作っているので、それをかけたりします。でも基本は下味の塩です。


紅茶鴨のロースト
紅茶鴨のロースト

ミラノ風カツレツ、仔牛のやつですね。これも下味で塩をつける程度かな。あとはケッカソースをかけるくらいですね。


ケッカソースというのは、生のトマトを刻んで塩コショウとビネガー、オイルで混ぜたソースで、トマトがゴロゴロしているソースですね。



パスタも、ほとんど素材の力です

パスタもそうです。ミル爆のトマトソースパスタなんかは、完全にトマトソースとチーズの味です。トマトソースに塩はしていますけどね。


うちのトマトソースってすごい美味しいんですよ。イタリアの有機ホールトマトの瓶詰めを使っています。


本当は高いからあんまり使いたくないんですけど、一回使っちゃうと戻れないというか、それぐらい美味しくて。原価がすごい高いけど、やめられないなという感じです。


店頭でも販売していますので、買ってご家庭でお楽しみいただけます。


ミル爆もかなり美味しいチーズですし、パスタを作るときに僕は後から塩をすることがほぼないです。全然使わないですね。


ジビエのボロネーゼもありますが、これも下味の塩とホールトマトですね。ホールトマトを入れたときに、また塩をする程度かな。


最近褒められたのは、豚バラとサボイキャベツのラグーソースパスタです。


豚バラとサボイキャベツのラグーソースパスタ
豚バラとサボイキャベツのラグーソースパスタ

豚バラに下味の塩をして、カリッとなるぐらいまでしっかり焼きます。油をしっかり落として、カットしたサボイキャベツと水を入れて、サボイキャベツがドロドロになるまでただただ煮込むソースです。


豚バラに下味の塩だけしているんですが、あとはもう何もしていません。サボイキャベツがいい味を出してくれて、ドロドロになるまで煮るとソースとして麺になじむようになるんです。


なので本当に何もしなくて大丈夫という感じなんですが、これ、めっちゃ褒められました。


広島産の牡蠣とチーマディラーパのパスタもやってましたが、牡蠣にも塩をしませんし、チーマディラーパも一応塩水で茹でてはいますが、茹でているだけなのでそんなに味が入るわけでもないです。


クタクタに茹でたものをペースト状のパスタソースにするんですが、本当に塩を使わないですね。



素材の味を引き出すより、壊さない

僕の修行時代、パスタを作る時には、けっこうみんな塩をしていたんですよね。そう教わって、当時は僕もしていました。


でも自分のお店をやっていくと、「これ塩いるっけ?」と思うようになって、だんだんやらなくなったという感じです。


美味しいんですよ、塩をそんなにしなくても。


お肉系はさすがに塩をしていますけど、だいたい重量に対して1%程度です。1キロの肉だったら10gですね。それしかしないので、オッタントットは割と全体的に塩分控えめで、本当に複雑な味付けはしていません。


でも、それで美味しい美味しいと言ってもらえるんだったら、これはもう間違いなく素材がいいということなんです。特に野菜系は本当に自信がありますので、みなさんに食べてほしいなと思います。


よく「素材の味を引き出す」って言うじゃないですか。僕の場合は、素材の味を引き出すというより、素材の味を壊さないようにしている。こっちの方が自分の中ではしっくりきます。だから、極力何もしない。引き算の考え方というか、素材がいいんだったら、そのまま食べれば美味しいよねと。


もちろん、組み合わせで美味しさが倍増することはあります。根菜のグリルに白バルサミコのスプレーをかけると、やっぱり断然美味しくなるし。そういう「これとこれ、めっちゃ合うよね」というものだったら、もちろん足します。


基本的には、あまり足さず、複雑な味付けもしていないのがオッタントットの料理です。でも結果的に美味しかったら勝ちだよね、と思っている店主です。

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